世界の飛び地──国境をまたぐ不思議な事例
飛び地は、日本国内だけの現象ではありません。
国境をまたぐ飛び地は世界各地にあり、 なかには教科書や地理の話題として繰り返し取り上げられる有名な事例もあります。
バールレ──家の中に国境線が引かれた町
もっとも知られた事例のひとつが、オランダとベルギーの国境にある「バールレ」です。
・オランダ側の町「バールレ=ナッサウ」
・ベルギー側の町「バールレ=ヘルトフ」
この2つの町は、地図上で複雑に入り組んでおり、 ベルギー領の飛び地がオランダ領の中に、さらにその中にオランダ領の飛び地が、 という入れ子状の構造になっていることで知られています。
建物の中を国境線が通っているケースもあると説明されており、 床に描かれた線で「ここから先はオランダ」「ここから先はベルギー」と示されている場所もあります。
カリーニングラード──ロシア本土から離れた州
ロシアの飛び地として広く知られているのが、カリーニングラード州です。
・ロシア連邦の一部だが、ロシア本土とは陸続きではない
・ポーランドとリトアニアに挟まれた位置にある
・バルト海に面する港湾都市を含む
ソ連崩壊後、周辺国が独立したことで、 結果的にロシア本土から切り離された飛び地になったと説明されています。
国全体が他国に囲まれている「エンクレーヴ国家」
国そのものが、1つの国にすっぽり囲まれているケースもあります。
・レソト(アフリカ)… 国土全体が南アフリカ共和国に囲まれている
・サンマリノ(欧州)… 国土全体がイタリアに囲まれている
・バチカン市国(欧州)… イタリアのローマ市内に位置する
これらは「他国に囲まれた独立国」であり、 1つの国の中にある飛び地とは少し性質が異なりますが、 「周囲を1つの国に完全に囲まれている」という構造は共通しています。
カンピオーネ・ディターリア──イタリアの中のイタリア領
スイスの中に、イタリア領の小さな町が浮かんでいる事例もあります。
・カンピオーネ・ディターリアという町
・行政上はイタリアに属している
・地理的にはスイス領に完全に囲まれている
通貨や生活インフラの面で、スイス側との結びつきが強いと説明されている、 飛び地ならではの独特な事例です。
なぜこうした飛び地が生まれるのか
世界の飛び地の多くも、日本の飛び地と同じように、 歴史的な経緯の積み重ねで残ったものです。
・かつての領地・領主の支配関係がそのまま国境線になった
・戦争・条約による国境の引き直しで、取り残された地域ができた
・住民の意向(言語・宗教・生活圏)で、あえて境界を動かさなかった
くわしい歴史的経緯は、事例ごとに専門書・各国政府の資料で確認する必要があり、 このサイトでは、広く知られている構造の説明にとどめています。
まとめ
- 世界にも国境をまたぐ飛び地は多数あり、バールレ(オランダ・ベルギー)は 国境が建物の中を通ることで知られている
- カリーニングラードはロシア本土から切り離されたロシアの飛び地
- レソト・サンマリノ・バチカンは国全体が他国に囲まれた「エンクレーヴ国家」
- カンピオーネ・ディターリアはスイスの中にあるイタリア領の町
- 世界の飛び地の多くも、歴史的な経緯の積み重ねでできている